出張で仕事終わった後飲み会でちょっと飲みすぎたんですよ。
んで寝てたんですが
夜中に、めっちゃトイレ行きたくなって目が覚めて
ババっと
こうババっと「やばい!おしっこもれちゃう!」
ってトイレに駆け込んだんですね。酔っ払ってる&寝ぼけながら。
んで駆け込んだ先はトイレではなく
ホテルの廊下な訳ですよ。
あと言い忘れましたけど全裸で寝てたんですね。
つまり
深夜3時。誰もいないホテルの廊下に 全 裸 で 呆然と立ち尽くす33歳のおっさんが完成してるわけですよ。
もちろんオートロックなので鍵が無ければ部屋に入れないし、もちろん全裸なので所持品は何も無いんですよ。
まあ人間ってうまいことできててピンチになると冷静になるわけですよ。尿意とか無くなるし、アルコールによる意識の低下とかも無くなるんですよ。
極めて冷静に今の状況を把握する訳ですよ。
「自分は地方公務員であり、出張で都会に来ている。明日地元に帰る訳であるが現在は
深夜3時。誰もいないホテルの廊下に 全 裸 で 呆然と立ち尽くしている」
という事実に冷静に気がついている訳ですよ。
さあどうするか。
とりあえず社会人なら原因の分析が先か。(夜中に全裸でホテルの廊下でする事では無いが)
まず酔っ払っていた。これはよくある事である。人類の3分の1くらいは今日も酔っ払っているだろう。しかし人類の3分の1はこのような状況には直面してはいない。
次に寝ぼけていた。これは大きい。酔っ払いプラス寝ぼけると人間はおかしなことをすることもあるのだろう。事実今現在全裸でホテルの廊下にいるし。
最後に、このホテル手続きのあれこれでちょっといい部屋になったのである。
普通のビジネスホテルってこんな形をしているが
今回ちょっといいホテルで
こんな形なのである。
つまり夜中トイレ行きたくてダッシュで駆け込む位置に今回は廊下への扉があったのである。外界への出口があったのである。酔っ払っていて寝ぼけていていつもの位置に出口があった。この3つの要因が
深夜3時に誰もいないホテルの廊下に 全 裸 で 呆然と立ち尽くしている状況を生み出したのだなあ。と考えながら、
いや考えながらそもそも裸で寝たのが良くなかったなと。パジャマ着ておけばよかった。パジャマ着てたらせめて深夜にホテルの廊下に締め出されたおっさんで済んだのである。パジャマなら見つかっても通報されることもないからね!と考えながら
寝る時は服を着て寝ようと誓ったのである。
さて。原因分析は終わった。ただ皆様もお気づきのようにこの状況で一番大事なのは
この状況をどう切り抜けるか。ということである。
皆様ならどうしますか?深夜のホテルの廊下に全裸ですよ。携帯も無いし。
ロビーに行く?エレベーターで人と出くわしたらまあ。通報されるよね。
無理無理。そもそも他人に全裸で出くわしたくないしこれを読んでるあなたも夜中疲れてホテルに帰ってエレベーターで全裸のおっさんと二人っきりで密室に閉じ込められたら、どうします?逃げる?通報する?twitterに書く?殴る?
私にとっては全てダメだ。
じゃあどうする?非常階段ならある。外に出る?
都会なんですよ。ここ。
週末の都会の夜中ですよ。そんなところに全裸で出て行くなんてハロウィンでも許されないし、お外に全裸で出てはいけない法律があったと思う。
ではドアを壊す?いや捕まる。そもそも全裸じゃホテルのドアは壊せない。
非常階段で朝まで過ごす?いや朝になっても状況変わらない。
詰んだ・・・・。詰みである。明らかに詰みである。詰みというか罪である。なんちゃって。
なんちゃってじゃねえよ。どうすればいいんだよ。
そこでふと思い出したんですよ。そういや一緒に出張に来た他の職員も同じフロアに泊まってる。男性の上司と女性の部下である。どこの部屋に泊まったかはわからない。夜中なので起きてるかどうかも解らないし、そもそも私は全裸である。
部屋をノックして助けてもらうしかない。服を貸してもらおう。服を着たらロビーに行って鍵を開けてもらえる・・・。
ただどこの部屋に泊まったか解らない。しかし隣だった気がする。ここで想定されるパターンは3つである。
1 上司の場合(男性)
夜中にノック音が聞こえるから出てみたら全裸の部下がいる。こいつは完全にバカだ。仕方がない服を貸してやろう。そしてこの話は市役所で永遠に語り継いでやろう。
このくらいか。まあ逮捕されるよりはマシである。
2 部下の場合(女性)
夜中にノック音が聞こえるから、え?なんでホテルで夜中にノックされるの?怖い。出てみる?警察に通報する?でもとりあえず出てみよう・・。えっ。全裸の上司がいる。
セクハラである。いや。セクハラどころではない。上司としての威厳とかこれまでの人間関係とかは全て崩れる。あと最悪寝ぼけてたりして私と認識されなければ通報される。
3 他人の場合
夜中にノックされて開けると見知らぬ全裸のおっさんが立っている。
もちろん通報である。場合によっては殴る。殴るでしょうそりゃ。怖いもん。
さてどうなるか。どれにしても最悪だが夜中のホテルの廊下で全裸で突っ立ってても状況は変わらない事だけは解る。
叩こう。ドアを叩こう。
そうして私は全裸で誰が中にいるか解らないホテルの部屋をノックしたのであった。
―反応が無い。
当然である。夜中だもん。寝てるわな。いや「寝てるわな」ではない。起きてもらおう。もう一度ドアを叩く。ちょっと強めである。
―反応が無い。
寝てるな。もしくは起きてて無視してる。そりゃ無視するでしょ。私が逆の立場でもそうする。だって怖いもん。
さあどうする。もう一個隣の部屋もノックしてみるか?他人が出てくるリスクは倍増する。あと奇跡的にさっきノックした部屋と両方の部屋から人が出てきたりして笑。2人に全裸目撃されちゃう笑。
そしたら笑う。
いや、笑えない。
その時である。部屋から物音が聞こえる。ドアに手を掛ける音が聞こえる。「助かった」あ、いや助かってない。全裸で突っ立ってるのはまずい!しかし服を持っていない!
「誰ですか?」部下の女性の声である。ドアは開きかけている。まずい。これはまずい。全裸の上司を夜中に見てしまう!こうなると上司としての威厳や人としての尊厳っつーか普通にセクハラである!
私は必死に扉を開けさせないように、ドアノブを押さえた。押さえたけど全部閉めると声が聞こえないので加減してこうちょうどこっちが見えないくらいドアを開けこう言った
「ごめんごめん!開けないで!私だけど!あの、全裸で廊下に締め出されたの今ほらホテルってオートロックじゃん!!服貸して欲しいの!!全裸なので!!」
―伝わるのか?情報量多すぎだしそもそもこの子も寝ぼけてるはずなのに夜中にノック音が聞こえてドアをあけると全裸の上司が服を貸してといっているのだ。果たして伝わるのか。
それがね。
伝わったんですよ。
「え!大丈夫ですか!まじですか!ちょっとまってください!」
と言ってちょっとだけ開いたドアから差し出されたのが
これである。
いや。入らないよ。この状況で「入らないよ」は全裸のおっさんにとっては贅沢すぎる悩みではあるが事実この服は入らない。実際入ったとして
せいぜいこうである。
紛う事なき変質者である。犯罪者である。
一瞬の間の後、私は再度懇願した。
「ごめん。これ女物だし入らない」
「そ!そうですよね!じゃあこれで!」と貸してくれたのが
これである
これならこうなる。
そしてもちろんサイズが違うのでお腹とか下腹部とか見えるので、先ほどの謎の女性用おしゃれ服と組み合わせてぎりぎり捕まらない格好にするとこうなる
―ともあれ助かったのである。夜中にホテルの廊下に全裸で締め出された危機的状況から助かったのである。
その後この話は部下には秘密にしてもらって(上司の権力である)無事帰路についたのである。
そして残ったのがこれである
そりゃまあ一回おっさんが着た服を「洗濯しといたよ。あの時はありがとう」って女性に返す訳にもいかないので買い取ることにしました。全部で7000円くらいでした。
その後しばらく生き延びた記念に部屋に飾っていたのですが、
最近だんだんムカついてきたので、そのうちバザーとかに出してやろうと思ってます。欲しい方には10円で売ります。売り上げ(30円)は赤十字とかに寄付します。
こうして私は至上最大(でも無いか)のピンチを乗り切った訳であるが、物事が全てそうであるように、後世の為に教訓を残さなければならないのだ。後の世の人が私と同じ轍を踏まぬよう。この教訓を皆様に捧げ、この記事は終わりとする。
―寝る時はパジャマを着て寝よう